サメの歯は、抜けても次々に生える?予備の歯が列になって前へ送られる

サメの歯は、抜けてもまた生えてくるのでしょうか。抜けた歯のあとは、どうなっているのでしょうか。

いまのサメは、一生を通じて歯を交換し続けます。歯は顎の上に列になって並び、奥で新しくできた歯がベルトコンベアのように前へ送られて、使われてきた歯と入れ替わります。ただし、生え替わる速さや抜け方、歯の形は種によって違い、生え替わりの日数が分かっているのは限られた種の実験だけです。顎の中で歯がどう並び、どう入れ替わるのかを、SOLBOY DIVE CENTERが詳しく掘り下げます。

一生、歯を交換し続ける

2009年に発表された化石の研究によると、一生を通じて歯を交換し続けることは、サメやエイ、ギンザメの仲間(軟骨魚類)のほとんどに共通する特徴で、この仕組みは最も初期の仲間にもすでにありました。

魚は一般に歯を作り直す力が高く、多くは一生を通じて歯を再生し続けます。サメやエイの仲間は一生歯を交換するため、化石と現生の種から非常に多くの歯が集まり、歯の形は分類や進化を調べるうえで大切な手がかりになっています。

予備の歯が、列になって前へ送られる

1984年の日本の解説によると、どのサメの歯も、後ろに予備の歯の列が控えています。ふつうは使われている歯の後ろに6〜10列ほどの予備の歯があり、予備の歯は顎の膜の上に載って、前へせり出してくる仕組みです。

歯ができる場所は、顎の内側の「歯堤」という組織です。大西洋の Scyliorhinus canicula というサメの胚や幼魚を調べた2016年の研究では、1つの列(歯族)は、再生する歯が発生の順に並んだものでした。最も若い歯の芽は歯堤の奥で生まれ、最も古い使用中の歯がそろって口の中に出ています。研究者は、このベルトコンベア式の連続的な歯の再生は、顎を持つ脊椎動物の口の歯に共通する特徴と考えています。

実際の顎の中も、そのような並び方です。ドチザメの顎の断面を調べた1976年の研究では、発育段階の違う5代の歯の芽が並び、顎の上には使用中の歯が2代立っていました。

1つの列に並ぶ歯の数は、成長とともに変わることがあります。イタチザメの乾燥した顎の標本21個などを調べた2022年の研究では、1列あたりの歯は胚や幼魚で4本、成魚では最大7本でした。列の最も外側にある最も古い歯がおもに使われる位置にあり、残りは交換用の歯とみなされています。

どのくらいの速さで生え替わる?

1984年の解説では、ホシザメ類で約10日、レモンザメで8日ほどで歯が抜け落ちたという実験が紹介されています。ただし、これは特定の種の実験の値で、すべてのサメに当てはまる日数ではありません。2022年の研究によると、交換の速さは歯の重なり方や水温など、いろいろな要因に影響されます。

大昔のサメの仲間も、同じように速く生え替わっていたとは限りません。現生のいろいろなサメの交換が速いことはよく確かめられていますが、デボン紀前期の化石の軟骨魚類 Leonodus carlsi について、スペインで見つかった1,103個の歯を調べた2009年の研究では、3つの独立した分析から、歯の交換がきわめて遅かったという強い証拠が示されました。

1本ずつか、1列まとめてか

歯の抜け方にも違いがあります。1984年の解説によると、多くの型の歯では最前列の歯がばらばらに抜け落ちますが、フトツノザメに見られる型では、1列がほぼ同時に抜け落ちて新しい歯に変わります。

2016年の研究によると、ツノザメの仲間の多くの成魚は刃のような歯を持ち、歯が顎の縁に沿ってつながったのこぎりのような刃になっています。これらの歯は、ひとまとまりとして交換されます。

歯の形も、種によって違う

同じように生え替わるといっても、歯の形はさまざまです。1984年の解説では、ホシザメは臼歯のような形の歯が敷石のように並び、イタチザメの歯は三角形に近く、縁の多くがぎざぎざになっていると紹介しています。シロワニの歯は先がきりのように尖った牙のような形です。ネコザメでは、前の歯は門歯のような形、横の歯は臼歯のような形と、1個体の中で形が分かれています。

同じ種でも、成長で形が変わることがあります。イタチザメの若い個体の歯は、年長の個体より細長く、ぎざぎざが少なく単純です。

体のうろこ「皮歯」との関係

サメの仲間の体の表面全体と口やのどの内側には「皮歯」といううろこがあり、顎の上には歯があります。歯と皮歯はどちらも、象牙質とエナメロイドの層で歯髄の空間を包んだつくりで、同じ種類の構造の仲間です。

Scyliorhinus canicula を調べた2016年の研究では、歯と皮歯は同じ遺伝子の制御のしくみを持つ、深い関係のある発生の単位であることが示されました。ただし、歯は連続的に交換されるのに対し、新しい皮歯は成長に合わせて不規則に、または傷ついた後にしかできません。幹細胞の目印となる遺伝子の働きは歯に特有で、この再生する力の違いと対応していました。同じ研究では、歯の再生の際に、表面の味蕾と歯の境目の細胞が歯堤へ移動して新しい歯に加わることも、生きた個体で示されています。

皮歯がやがて口の歯になったという考えは、1874年に出された説として古くから知られています。2018年の研究も、歯をつくる能力は皮膚の骨格で生まれ、皮歯が口の歯の先駆けになったと考えられていると述べています。ただ、その進化の道筋は、まだ仮説の段階です。

よくある質問

サメの歯は、何日くらいで生え替わるのですか?

1984年の解説では、ホシザメ類で約10日、レモンザメで8日ほどという実験が紹介されています。ただし、交換の速さは水温などで変わり、種によっても違うため、どのサメにも当てはまる日数はありません。

大昔のサメの仲間も、同じように速く生え替わっていたのですか?

そうとは限りません。デボン紀前期の化石の軟骨魚類 Leonodus carlsi では、歯の交換がきわめて遅かったという強い証拠が示されています。

体のうろこ(皮歯)も、歯のように生え替わるのですか?

皮歯は歯と同じ種類の構造ですが、歯のように連続して交換されることはありません。Scyliorhinus canicula の研究では、新しい皮歯は成長に合わせて不規則に、または傷ついた後にできていました。

まとめ

いまのサメは、一生を通じて歯を交換し続けます。顎の内側の歯堤の奥で新しい歯ができ、列になって前へ送られて、使われてきた歯と入れ替わります。予備の歯の列の数や1列の歯の数、抜け方、歯の形は種によって違います。

生え替わりの日数は、ホシザメ類やレモンザメの実験で紹介された値が知られていますが、水温などで変わり、すべてのサメの値ではありません。体を覆う皮歯は歯と深い関係を持ちながらも、歯のように次々に交換されることはありません。