海の波はどうやってできる?風が育てる風浪と、遠くから届くうねり

風のない穏やかな日でも、海岸にはゆったりとした波が寄せてくることがあります。海の波は、どうやってできて、どこからやって来るのでしょうか。

海の波のいちばん多い原因は風です。海の上を吹く風から力を受けて育っている波を「風浪」、風の影響を離れたあとも伝わっていく波を「うねり」と呼びます。風浪は、風が強いほど、吹く距離と吹き続ける時間が長いほど大きくなります。うねりは形が丸く、周期が長くなり、数千kmも旅をすることがあります。波ができて、育ち、遠くへ伝わり、岸近くで崩れるまでを、SOLBOY DIVE CENTERが気象庁や世界気象機関(WMO)の解説をもとに説き明かします。

水の揺れでエネルギーが伝わる

アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、波のいちばん多い原因は風で、風と海面の水との摩擦によって生じると説明しています。月と太陽が地球を引く力も潮の満ち引きという波を起こしますが、ここでは風でできる波を取り上げます。

NOAAによると、波は水の中をエネルギーが伝わることで生まれ、水を円を描くように動かします。波のエネルギーは、さえぎるものがなければ大洋を横断して伝わることもあります。WMOのガイドによると、深い海の単純な波では、波が1周期進むあいだに、水の粒子は縦の面の中で円を描きます。浅い海では、この動きは楕円になります。

波の大きさを表すことばも確認しておきましょう。気象庁によると、波の高さ(波高)は、波の山とそれに続く谷との高さの差です。WMOのガイドでは、代表的な波の周期は通常4〜15秒で、20秒を超えることはまれです。また、水深が十分に深い海では、波長は周期の2乗に比例します。

風が育てる「風浪」

気象庁の解説によると、波の進む速さより風速が大きければ、波は風に押されて発達を続けます。このように、海の上の風で生じる波が風浪です。風浪は一つひとつの形が不規則で尖っていて、強い風の下ではしばしば白波が立ちます。発達した波ほど波高が大きく、周期と波長も長くなり、進む速さも大きくなります。

風浪の育ち方を決めるのは、風速、吹送距離(風が吹いている距離)、吹続時間(風が吹き続けている時間)の3つです。気象庁の資料では、風速が強いほど、また吹送距離と吹続時間が長いほど、風浪は発達するとしています。

この関係を使って波を見積もる方法があります。有義波法(SMB法)と呼ばれる手法で、気象庁の資料によると、第2次世界大戦中の上陸作戦のために波浪を予測する手法が必要になったのが始まりです。同じ資料の推算の早見表では、風が24時間吹き続けたとき、風速25ノットで波高3.3m、30ノットで4.5m、35ノットで5.8mとなります(1ノットは秒速約0.5m)。風速が5ノット違うだけで、波高が1m以上違う計算です。これらは推算の値で、実際の観測値ではありません。

波はどこまでも大きくはならない

風浪の発達には限りがあります。気象庁は、風浪の発達は理論上、波の速さが風速に近づくまで続くものの、強い風では先に波が砕けて発達が止まると説明しています。WMOのガイドも、ある風速では、吹続時間か吹送距離が十分に長くなると、波はそれ以上大きくならないとしています。

ハワイ大学の教材は、風から受けるエネルギーと、砕ける波で失うエネルギーが等しくなった海を「十分に発達した海」と呼んでいます。WMOのガイドでは、これは吹続時間と吹送距離が無制限のときに達する、理想化されたつり合いの状態です。

風の外へ旅立つ「うねり」

気象庁によると、風浪が風の吹かない領域まで進んだり、海上の風が弱まったり、風向きが急に変わったりして、風による発達がなくなったあとに残される波がうねりです。うねりは弱まりながら伝わる波で、同じ波高の風浪と比べて形が規則的で丸みを帯び、波の峰も横に長く連なります。風浪からうねりに変わると、波高は下がり、周期は長くなります。

うねりは遠くまで届きます。WMOのガイドでは、うねりは生まれた海域を離れて数百〜数千kmも伝わることがあるとしていて、北大西洋の中緯度の嵐で生じた波が、南大西洋でうねりとして観測された例も挙げています。日本では、数千km南の台風のまわりで生じた波が沿岸まで伝わってくる「土用波」が、うねりの代表例です。

うねりの変化を見積もった例もあります。気象庁の資料が紹介する1947年の研究にもとづく図では、生まれた場所で波高6m・周期10秒だった風浪が900海里先の沿岸にうねりとして届くとき、波高は2.4m、周期は14秒、届くまでの時間は48時間と推算されます。実際の海では、風浪とうねりはふつう混ざり合っていて、気象庁はその両方をまとめて「波浪」と呼んでいます。

天気予報の「波の高さ」は、有義波高

海の波は一つひとつ高さが違うため、代表する値が必要になります。気象庁によると、有義波高は、ある地点で続けてやって来る波を一つずつ観測し、高い方から全体の3分の1の数の波を選んで、その波高を平均したものです。100個の波なら、高い方から33個の平均になります。有義波は熟練した観測者が目で見て観測する波高や周期に近いといわれ、気象庁が天気予報や波浪図で使う波高も有義波の値です。

有義波高は、最も高い波の高さではありません。気象庁の資料によると、統計的には100波に1波は有義波高の約1.5倍、1000波に1波は2倍近い高さになるといわれます。実際の海面には有義波高より高い波も低い波もあります。

浅い海で、波は高くなり、やがて崩れる

沖から岸へ近づくと、波は海底の影響を受けて形を変えます。これを浅水変形といいます。気象庁によると、浅水変形は水深が波長の2分の1より浅い場所で起こり、屈折や砕波なども伴います。水深が波長の2分の1から6分の1までの海域では、浅くなるほど波高がいったん下がって元の90%程度になりますが、さらに浅くなると逆に急激に高くなります。進む速さは遅くなり、波長は短くなっていきます。WMOのガイドによると、浅い海に入っても周期は変わりません。

浅いところほど波が遅くなるため、水深が場所によって違うと、波の進む向きが曲がります。気象庁は、この屈折のために、沖の波が海岸線に斜めに打ち寄せていても、波打ち際では正面から向かってくるように見えると説明しています。うねりは風浪より波長と周期が長いので、浅い海岸付近で海底の影響を受けて高くなりやすい波です。

浅水変形で波高が増える一方、波長は短くなるので、波の形は急になります。気象庁によると、その形が限界を超えると、波は前へ飛び出すように崩れ落ちて白波が立ちます。これが砕波です。

よくある質問

風がないのに波があるのは、なぜですか?

遠くの海で風によって生まれた波が、風の影響を離れたあとも、うねりとして伝わってくるためです。気象庁は、数千km南の台風のまわりで生じた波が日本の沿岸まで届く「土用波」を、うねりの代表例として挙げています。

風浪とうねりは、どう見分けるのですか?

気象庁によると、風浪は形が不規則で尖っていて、強い風の下では白波が立ちます。うねりは同じ波高の風浪と比べて形が規則的で丸みを帯び、峰が横に長く連なり、周期も長くなります。実際の海では、ふつう両方が混ざっています。

天気予報の波の高さは、いちばん高い波の高さですか?

いいえ。天気予報で使われる波の高さは有義波高で、高い方から3分の1の数の波の平均です。統計的には、100波に1波は有義波高の約1.5倍の高さになるといわれます。

まとめ

海の波の多くは風でできます。風から力を受けて育つ風浪は、風速が強いほど、吹送距離と吹続時間が長いほど大きくなりますが、どこまでも大きくなるわけではありません。風の外へ出た波はうねりとなり、丸く規則的な形で、周期を長くしながら遠くの海岸まで届きます。

波は、水が揺れ動く中をエネルギーが伝わる現象です。浅い海に入ると、波は遅く、短く、高くなって向きを変え、形が急になりすぎると崩れて白波を立てます。