魚の年齢は、どうやって調べる?耳石の輪を数え、読み方を確かめる

魚には、生まれた日の記録がありません。それでも研究では、魚が何歳なのかを調べています。どこを見れば、魚の年齢が分かるのでしょうか。

多くの硬骨魚では、頭の中にある「耳石」という小さな石にできる層を数えて年齢を調べます。うろこ、ひれのすじ、脊椎骨も使われ、耳石のないサメやエイでは脊椎骨がよく使われます。ただし、輪が1年に1本できるかどうかは種ごとに確かめる必要があり、年齢の分かった魚や核実験に由来する放射性炭素を使って、読み方が正しいかを検証しています。年齢を調べる方法とその確かめ方を、SOLBOY DIVE CENTERが実際の研究の例を交えて説明します。

耳石は、頭の中にある「耳の石」

米国海洋大気庁(NOAA)の漁業局の説明によると、耳石は硬骨魚の頭の中にある炭酸カルシウムでできた構造で、聴覚と平衡感覚に関わる内耳の一部です。サメやエイにはありません。魚の年齢を調べるのに最もよく使われ、木の年輪を数えるのに近いやり方で年齢を示します。

耳石は一生を通して外側に物質が積み重なって大きくなり、その層は季節ごとに入れ替わります。2017年の日本の論文では、耳石はストレスがあってもうろこのようにカルシウムが再び吸収されることがほぼなく、体の成長が止まってもカルシウムの沈着が続くため、多くの硬骨魚の年齢査定に使われていると紹介しています。

透明な層と不透明な層で1年分

活発に食べる時期には幅の広い不透明な層ができ、食べる量が少ない時期には耳石の成長が遅くなって、細い透明な層ができます。この2つの層で1年分の成長を表し、これを年輪と呼びます。

年輪は6〜40倍に拡大して見ます。すべての年輪を見るには、耳石を中心を通るように切る必要があることが多いとされています。米国西海岸の研究室では、耳石を半分に割って炎であぶる方法が最もよく使われ、年輪が顕微鏡で見やすくなります。耳石に近赤外線を当てて年齢を推定する方法も試されていますが、正確さの検証はまだ必要です。

世界の多くの年齢査定の研究室は、実際に生まれた日にかかわらず、魚の誕生日を1月1日とする取り決めをしています。

うろこ、ひれ、脊椎骨も使う

種によっては、うろこも使われます。うろこには輪のように並ぶ隆起があり、冬はその間隔が狭くなります。ただし、底魚の年齢査定にはうろこはあまり使われません。年輪が縁に詰まって年齢を低く見積もりやすく、縁が削れたり、抜けて生え替わったりするためです。

ひれのすじ(鰭条)や骨、脊椎骨にも年輪ができ、耳石のないサメやエイでは脊椎骨がよく使われます。米国西海岸の一部の種では、ひれのすじを薄く切ったり棘を使ったりと準備にずっと手間がかかり、年輪が常に見えるわけでもありません。

サケでは、まれに生え替わったうろこなどで年齢が読めない標本があり、漁期の後半には成熟で表皮が厚くなってうろこが採りにくくなります。一方で同じ論文は、外洋のサケや成熟が進んでいない個体では、これまで通りうろこが役に立つとしています。どの部位を使うかは、種と条件で選ばれています。

稚魚は1日1本の「日周輪」で数える

仔魚や稚魚の耳石には、1日に1本の輪(日周輪)ができることが多くの魚種で確かめられています。受精卵から育てたマツカワの仔稚魚を調べた2020年の研究では、日齢と輪の数の関係から、耳石の輪は日周輪と判断されました。耳石の中央の目立つ輪は口が開くころにでき、水温が低いと発育とともにこの輪の形成も遅れました。数えはじめの印にも注意が要ります。

数え過ぎの例もあります。サンマでは、高い倍率で細かな輪を見たために日周輪でない輪まで数え、日齢を多く見積もっていたことが後に指摘されました。その後の研究で、漁期に年輪のない中型以下の魚は0歳、年輪のある大型の魚は1歳と整理されています。

グレートバリアリーフ南部で Plectropomus maculatus(ハタの仲間の一種)の稚魚761尾の日齢を求めた2023年の研究では、着底した日と産卵日を逆算し、予想に反して一年中産卵が行われていることが示されました。

読み方が正しいかを、どう確かめる?

NOAAの説明では、年齢が分かっている基準の標本を読んで推定と本当の年齢が合うかを確かめる試験と、標本の一部を読み直す試験が行われています。年齢の分かった魚を用意する方法の一つが、標識をつけて放流した魚です。

山形県の川で、ふ化用の水の温度を周期的に変えて耳石にバーコードのような印をつけて放流したサケを調べた2017年の研究では、2012〜2014年に戻ってきたサケで、うろこで読んだ年齢がすべて実際の年齢と合っていました。耳石では、表面から読むか薄く切って読むかなどで合う割合が変わり、合わなかった個体については、最初の年輪が読みづらく、年齢を低く見積もった可能性が挙げられています。

人工生産した2〜7歳のクエ102尾を調べた2015年の研究では、耳石の輪の数が年齢と66.7〜100%一致し、うろこと耳石の輪は5〜6月に年1回できていました。佐賀県玄海町のカサゴ175個体を調べた1995年の研究では、耳石を切った断面では最大11本の不透明帯が数えられたのに、表面からは最大7本しか数えられませんでした。断面で数えた不透明帯は、年に1回できることが確かめられています。

岩手県の宮古湾では2010年に、耳石に化学標識のあるニシン2尾が再び捕獲され、標識から2001年に放流された個体と推定されました。著者らは、宮古湾で繁殖するニシンが9年以上生き、何年もたってから生まれた産卵場へ戻ると示唆しています。宮古湾のニシンはうろこと耳石の年輪がはっきりせず、高齢の魚では年齢を読み取れないため、標識が手がかりになりました。

核実験の放射性炭素で確かめる

1945年から1960年代初めまでの核兵器の実験で、大気中に放射性炭素がもたらされました。その量の移り変わりは、年齢の読み方を確かめる手がかりとして使われています。

熱帯のサンゴ礁の魚では、耳石の輪が見えにくく、解釈しにくいことがあります。米国領カリブ海のブダイ類2種(Sparisoma viride と Scarus vetula)を調べた2024年の研究は、眼のレンズの中心部の放射性炭素を分析し、耳石の薄片の不透明帯を数えれば正確な年齢が得られることを示しました。

同じ方法で Balistes vetula を調べた2022年の研究では、耳石のほうが背びれの棘よりも正確で再現性のある年齢を示しました。耳石で読んだ最高年齢は40歳で、棘で読んだ14歳の約3倍でした。

よくある質問

耳石の輪は、どの魚でも1年に1本できるのですか?

年に1回できることは、カサゴやクエなど種ごとに確かめられてきたものです。熱帯の魚では輪が読みにくいこともあり、種ごとに検証が必要です。

うろこでは、年齢は分からないのですか?

種と条件によります。底魚では年齢を低く見積もりやすいためあまり使われませんが、標識で年齢が分かっていたサケの研究では、うろこで読んだ年齢がすべて合っていました。

サメやエイの年齢は、どうやって調べるのですか?

サメやエイには耳石がないため、脊椎骨がよく使われます。脊椎骨やひれのすじ、骨にも年輪ができます。

まとめ

魚の年齢は、多くの硬骨魚では耳石にできる透明な層と不透明な層を数えて調べます。うろこ、ひれのすじ、脊椎骨も使われ、サメやエイでは脊椎骨がよく使われます。稚魚では、1日に1本できる日周輪から日齢を求めます。

輪の数え方が正しいかは、年齢の分かった標識魚や人工生産魚、核実験に由来する放射性炭素などで種ごとに確かめられています。読み方を確かめたことで、Balistes vetula のように、使う部位によって読める年齢が大きく違うと分かった魚もいます。