水中でやることが増えると、確認が後回しになることがあるのはなぜ?

SOLBOY Learning Lesson 14 / 20(水中で実際に起こること)|全20レッスンの一覧

水中で、姿勢を直したり、近くの人を見たり、器材を扱ったりしているうちに、空気の残りをしばらく確認していなかった、とあとから気づくことがあります。確認する意味は知っているのに、なぜでしょうか?

この記事では、水中でやることが増えると確認が後回しになることがある理由を、専門用語を使わずに説明します。確認の方法やタイミング、後回しにしないための手順は扱いません。

まず何が起きるの?

前のレッスンでは、空気の残りを実際に確認する意味を学びました。

ところが水中では、浮き沈みや姿勢を直すこと、進むこと、器材の扱い、周囲や一緒に潜る相手の確認、空気の残りの確認など、同時に意識することが複数あります。

ひとつのことに集中している間に、大事な確認が後回しになったり抜けたりする場合があります。

30秒で理解

  • 人が一度に対応できることには限りがあり、同時に対応することが増えると、それぞれに向けられる注意は少なくなることがある。
  • 水中では同時に意識することが複数あり、やることが増えると、確認する意味を知っていても確認が後回しになったり抜けたりする場合がある。
  • これは性格や技量の評価ではなく、問題の発生・人数の増加・器材の追加といった状況で、経験や技量に関係なく増える。

なぜそうなる?

一度に向けられる注意には、限りがある

人が一度に対応できることには限りがあります。複数のことへ同時に対応すると、それぞれに向けられる注意が少なくなることがあります。

水中では、同時に意識することが多い

ダイビングでは、浮力(水の中の物を上へ持ち上げようとする力)の調整、姿勢、移動、器材の扱い、周囲や一緒に潜る相手の確認、空気の残りの確認など、同時に意識することが複数あります。

同時に対応することが増えると注意や余裕が取られ、ひとつのことに集中している間に、大事な確認が後回しになったり抜けたりする場合があります。

慣れていない動作や器材は、より注意を使う

慣れていない動作や器材、新しく加えた器材は、より多くの注意を必要とする場合があります。慣れていない器材の具体的な話は、別のレッスンで扱います。

性格や技量の問題ではなく、状況で起こる

この状態は経験や技量に関係なく、水中で問題が起きたとき、一緒に潜る人数が増えたとき、器材を加えたときなど、状況によって増えます。

確認できなかったのは単に集中力がないからだ、という性格や集中力の評価ではありません。

この言葉はどういう意味?

ここまで出てきた状態に、名前をつけておきます。

一度に対応することが増えて、注意や余裕が取られている状態を「タスクローディング」と呼びます。

名前を覚えることが目的ではありません。「やることが増えると注意が分かれ、知っている確認でも後回しになることがある」という流れがわかっていれば十分です。

実際の海ではどう感じる?

初めてのうちは、浮き沈みや姿勢を直すことに意識が向いている間に、別の確認まで気が回らない場合があります。全員に当てはまるわけではありません。

同時に対応することが増えると、注意や余裕が取られていると感じる場合があります。緊張や呼吸との関係は、次のレッスンで扱います。

「確認の意味を知っていれば忘れない」「一度にたくさんのことをこなせるほど上手」「確認できなかったのは集中力がないから」「経験者なら起きない」とは考えません。人が一度に向けられる注意には限りがあり、同時に増やすほど、それぞれへの注意は少なくなることがあります。経験や技量に関係なく、問題の発生・人数の増加・器材の追加などの状況で増えます。

インストラクターと確認したいポイント

練習では、次の点をインストラクターと一緒に確認しましょう。

  • 姿勢や浮き沈みの修正、器材の扱い、周囲を見ることのうち、どこに注意が向いているか
  • 浮き沈みや姿勢の修正を繰り返す間に、計器を見る・相手を確認するといった普段の確認が止まっていないか
  • 合図や周囲の変化への反応が遅れていないか

ひとつの様子だけで原因を決めつけるものではありません。

インストラクターの現場観察では、浮力を保つことだけなら対応できる初心者が、止まって空気の残りを確認し合図する動作を加えると、浮力の維持が難しくなる様子が見られる、とインストラクター向けの解説で触れられています。

想定シナリオ:気づいたら、しばらく見ていなかった

【想定シナリオ】(実際の出来事ではなく、イメージをつかむための架空の例です)

姿勢を直し、近くにいた別のダイバーを見て、深さを合わせ直しているうちに時間がたち、落ち着いたところで、しばらく空気の残りを確認していなかったことに気づいた、という場面。空気は十分に残っていて、誰かが間違えたわけでもありません。

この場面で思い出してほしいのは、同時に対応することが増えると注意が取られ、知っている確認でも後回しになったり抜けたりする場合がある、ということです。

覚えて帰る3ポイント

  1. 人が一度に向けられる注意には限りがあり、同時に対応することが増えると、それぞれへの注意は少なくなることがある。
  2. 水中では同時に意識することが多く、確認する意味を知っていても、確認が後回しになったり抜けたりする場合がある(タスクローディング)。
  3. タスクローディングは性格や技量の評価ではなく、問題の発生・人数の増加・器材の追加といった状況で、経験や技量に関係なく増える。

確認クイズ

Q1. 「タスクローディング」とは、どういう状態?

ア. 一度に対応することが増えて、注意や余裕が取られている状態 イ. 集中力が足りない人に起こる状態 ウ. 経験を積むと二度と起こらなくなる状態

Q2. 確認する意味を知っているのに、確認が後回しになることがあるのはなぜ?

ア. 意味を本当には理解していなかったから イ. 同時に対応することが増えて、そこへ向けられる注意が少なくなったから ウ. 水中では確認しなくてもよいから

答え:Q1はア。タスクローディングは、同時に対応することが増えて注意が分かれる状態で、性格や経験の評価ではありません。

Q2はイ。人が一度に向けられる注意には限りがあり、やることが増えると、意味を知っている確認でも後回しになったり抜けたりする場合があります。

次に理解するとよいこと

この記事では、やることが増えると確認が後回しになることがある理由を見てきました。次は、緊張したときに呼吸や余裕がどう変わるかを見ていきます。

  • 緊張と呼吸、余裕や判断との関係は、次のレッスンで扱います。
  • 慣れていない器材で注意が増える理由は、別のレッスンで扱います。
  • 残っている空気を確認する意味は、前のレッスンで扱っています。
  • 後回しにしないための工夫や、続けるか中止するかの判断は、別のレッスンで扱います。