SOLBOY Learning 知識の補足(潜る前の準備)|全20レッスンの一覧
ライセンスを取ると、ガイドの説明を聞いて潜るだけでなく、一緒に潜る相手と話し合って潜り方を組み立てる場面も出てきます。どこまで進むか、どの深さを通るか、どのくらいの時間潜るか。これらを決めるとき、一つを変えると、ほかの何が変わるのでしょうか?
この記事では、ダイビングの計画を組み立てる要素どうしのつながりを説明します。ガイドの説明を聞くときのポイントは、「ダイビングのブリーフィングとは?」で紹介しています。
まず何が起きるの?
通常のレジャーダイビングでは、水中で陸の上のように会話することはできません。潜ってから「どこまで行く?」「いつ戻る?」と細かく相談するのは難しいため、潜り方は潜る前に組み立てて、一緒に潜る人と共有しておきます。
組み立てるときに考えることは、別々に見えて、実はつながっています。進む距離を延ばせば時間と空気が必要になり、深いところを通れば空気の減り方も時間の目安も変わります。
30秒で理解
- 計画の要素(進む道のり・深さ・時間・使う空気・戻り方)はつながっていて、一つを変えると、ほかも変わる。
- 深いところを通るほど、同じ道のりでも空気が多く必要になり、いられる時間の目安も短くなる。行って戻るコースでは、帰り道の分も考える。
- 計画は、その日の海の状態と、自分たちが受けた講習・経験に合わせて組み立て、そのとおりに潜る。
なぜそうなる?
水の中では、細かい相談ができない
水の中で伝えられることは、合図で表せる範囲に限られます。DAN(ダイバーの安全を扱う団体)の解説でも、「計画を立て、その計画どおりに潜る」ことが基本として挙げられ、バディと潜ること、はぐれたときにどうするか、合図を確かめ合うことも計画に含めるとされています。
道のりと時間と空気は、つながっている
遠くまで進むほど、時間がかかり、そのあいだ呼吸を続けるので空気も使います。行って戻るコースなら、行きと同じくらいの道のりを帰りにも進むため、帰り道の時間と空気も最初から計画に入っています。
「どこで引き返すか」は、行きの道のりだけでなく、帰り道に必要な時間と空気から決まってきます。1本のダイビング全体で空気を考える理由は、レッスン「1本のダイビング全体で、空気をどう考えるの?」で扱っています。
深さを変えると、空気と時間の目安が変わる
同じ道のりでも、深いところを通れば、1回の呼吸に使う空気が増え、残圧が速く減ります。その深さにいられる時間の目安も短くなります。つまり、深さを変えることは、空気と時間の両方の計画を変えることでもあります。
流れや戻り方で、行きと帰りの重さが変わる
行きに流れに乗って進んだコースでは、流れの向きが変わらなければ、帰りは流れに向かって進むことになり、行きより時間と空気を多く使うことがあります。反対に、一般的な例として、浮上する場所で船に迎えてもらうコースでは、出発点へ戻る帰り道はありませんが、浮上する場所と時間を船とそろえておくことが計画の中心になります。どんな組み立て方になるかは、その日のポイントと案内のしかたによって違います。
計画は、その日の海と、自分たちの経験に合わせる
同じ場所でも、流れや見え方は日によって変わります。NAUIのオープンウォーターの公開説明では、講習を終えたダイバーは、講習を行ったのと同等の条件下であれば、バディとダイビングを楽しめると説明されています。CMASの基準でも、訓練を受けたときと同じか、それよりよい条件で潜ることが示されています。計画は、その日の海の状態と、自分たちが受けた講習・経験の範囲に合わせて組み立てます。
この言葉はどういう意味?
ここまで出てきたものに、名前をつけておきます。
- 潜る前に組み立てておく潜り方を「潜水計画(ダイブプラン)」と呼びます。
- 潜る前に、ガイドやインストラクターがその日の計画や注意点を説明する時間を「ブリーフィング」と呼びます。
- 一緒に潜る相手を「バディ」と呼びます。
名前を覚えることが目的ではありません。「計画の要素はつながっていて、一つを変えるとほかも変わる」と考えられれば十分です。
実際の海ではどう感じる?
初めて相手と計画を組み立てるときは、何から決めればよいか迷うことがあります。「もし予定より深いところを通ったら」「もし帰りが流れに向かう向きだったら」と、一つの条件を変えたときにほかの何が変わるかを話し合ってみると、計画の中身がつかみやすくなります。
水の中で計画を変えたくなったときは、合図で相手やガイドと確かめます。誰でも、いつでもダイビングを中止できるのが基本原則なので、迷うときは、やめる・引き返すことも選べます。
講習で一緒に確かめたいこと
- 行って戻るコースで、行きと帰りの時間や空気の使い方がどう違ったか
- 深さを変えたとき、残圧の減り方と時間の目安がどう変わったか
想定シナリオ:予定より深いところを通ったら
【想定シナリオ】(実際の出来事ではなく、イメージをつかむための架空の例です)
バディと二人で、岩場に沿って進み、決めた目印で引き返すコースを計画した。進む途中で見たい生き物を見つけ、予定より少し深いところを通って目印まで行った。引き返す地点に着いたとき、残圧は計画で考えていたより少なかった、という場面。
この場面で起きていたのは、計画の要素のつながりです。深いところを通ったことで、同じ道のりでも1回の呼吸に使う空気が増え、行きの空気の減り方が計画より速くなっていました。行って戻るコースなので、帰り道にも空気が必要です。深さという一つの条件が変わったことで、空気と帰り道の計画にも影響が出ていたのです。
覚えて帰る3ポイント
- 通常のレジャーダイビングでは水中で細かく相談できないので、潜り方は潜る前に組み立てて共有する。
- 計画の要素(道のり・深さ・時間・空気・戻り方)はつながっていて、一つを変えるとほかも変わる。行って戻るコースでは帰り道の分も考える。
- 計画は、その日の海の状態と、受けた講習・経験に合わせて組み立て、そのとおりに潜る。
確認クイズ
Q1. 同じコースを、前より深いところを通って進むことにした。何が変わる?
ア. 何も変わらない イ. 1回の呼吸に使う空気が増え、時間の目安も短くなる ウ. 帰り道が短くなる
Q2. 行って戻るコースで、行きに流れに乗って進んだ。帰りはどうなりやすい?
ア. 流れに向かって進むので、行きより時間と空気を多く使いやすい イ. 行きと必ず同じ時間で戻れる ウ. 空気をまったく使わない
答え:Q1はイ。深さを変えると、空気の減り方と、その深さにいられる時間の目安の両方が変わります。
Q2はア。流れの向きが変わらなければ、行きと帰りで流れに対する進む向きが逆になるため、帰りは時間と空気を多く使うことがあります。行って戻るコースでは、帰り道の分も計画に入れて考えます。
次に理解するとよいこと
この記事では、ダイビングの計画を組み立てる要素どうしのつながりを見てきました。
- ブリーフィングで聞いておきたいことは、「ダイビングのブリーフィングとは?」で紹介しています。
- 流れを感じたときの考え方は、「ダイビング中に流れを感じたら?」で紹介しています。
- はぐれないためのコツや、潜る前の確かめ合いは、「ダイビングのバディとは?」で紹介しています。
- 深さと時間で、いられる時間の目安が決まる理由は、レッスン「深さと時間で、潜っていられる長さの目安が決まるのはなぜ?」で扱っています。
- やめたほうがよい場合がある理由は、レッスン「続けるより、やめたほうがよい場合があるのはなぜ?」で扱っています。