SOLBOY Learning 知識の補足(器材)|全20レッスンの一覧
海で潜ったあとの器材は、見た目にはただ濡れているだけです。それでも、ダイビングでは潜ったあとに器材を真水で流し、日陰で乾かし、涼しく乾いた場所にしまうことが大切だとされています。海水に濡れたまま、あるいは日なたに置いたままだと、何が起きるのでしょうか?
この記事では、塩・砂・水分・日差しと器材の素材の関係から、その理由を説明します。
まず何が起きるの?
潜ったあとの器材をそのままにしておくと、こんなことに気づくことがあります。
- 乾いたあとに、白い粉のような跡が残る
- ボタンや留め具のすき間に、細かい砂が入り込んでいる
- 湿ったまましまったウェットスーツに、においが残る
- 日なたに置いたゴムやプラスチックの部分が、硬くなったり色あせたりする
30秒で理解
- 海水が乾くと、塩が結晶になって器材に残る。砂は細かいすき間に入り込む。真水で流すのは、塩を溶かし、砂を洗い流すため。
- 日差しの紫外線や高い温度は、ゴム・ネオプレン・プラスチックなどを傷めやすい。乾かすのは日陰が向いている。
- 器材ごとに素材やつくりが違うので、手入れのしかたも違う。くわしい方法は、それぞれの取扱説明に書かれている。
なぜそうなる?
海水が乾くと、塩が残る
海水には塩が溶けています。器材についた海水が乾くと、水だけが蒸発して、塩が結晶になって残ります。白い粉のような跡は、この塩です。
DAN(ダイバーの安全を扱う団体)の解説では、潜ったあとに器材を真水でよく流し、塩をできるだけ落としておくことが、器材が本来の働きを保つことにつながると説明されています。塩は真水に溶けるので、細かいすき間に残った塩も、真水で流すことで落としやすくなります。Suunto(計器メーカー)の取扱説明でも、ダイブコンピューターから塩の結晶や砂をすべて流してから乾かすように書かれています。
砂は、すき間に入り込む
海辺や海底の細かい砂は、ボタンや留め具、空気の通り道などのすき間に入り込みます。塩や砂がすき間や動く部分に残ると、器材が本来の働きを保ちにくくなるため、真水で洗い流します。
日差しと熱は、素材を傷める
DAN Europeの解説では、日光はウェットスーツの素材、ホース、ゴムの部品、プラスチック、ファスナーなどを傷めることがあり、高い温度ではウェットスーツの素材が伸び縮みしにくくなると説明されています。フィンも、熱で形が変わることがあるとされています。
ウェットスーツのメーカーであるO’Neillも、熱いお湯で洗ったり、日なたで乾かしたりしないように案内しています。日陰で乾かすのは、こうした素材を守るためです。
湿ったままにしない
濡れたまま閉じた場所にしまうと、なかなか乾かず、においが残ることがあります。DANの解説では、すすいだあとは涼しく風通しのよい日陰で完全に乾かしてからしまうこと、DAN Europeの解説では、涼しく乾いた、日の当たらない場所に保管することがすすめられています。
器材ごとに、扱い方が違う
器材は、素材もつくりもそれぞれ違うため、手入れのしかたも違います。たとえば、次のような違いがあります。
- レギュレーター:空気の通り道に水や塩が入らないようにすることが大切です。洗い方は機種や接続の状態によって違い、それぞれの取扱説明に決められています。
- BCD:中の袋にも海水が入ることがあるため、外側だけでなく内側も洗い、乾かします。
- ウェットスーツ:裏返して日陰で乾かすことが、DANとO’Neillの案内に共通しています。O’Neillは、針金ではない幅の広いハンガーに掛けることもすすめています。
- マスク:DANの解説では、ほかの器材の重みでレンズやシリコンの部分が押しつぶされたり形が変わったりしないよう、ケースに入れてしまうことがすすめられています。
どの器材も、くわしい手入れの方法や、内部の点検・部品の交換は、それぞれのメーカーの取扱説明や、メーカーが案内する方法に従うものです。
この言葉はどういう意味?
ここまで出てきたものに、名前をつけておきます。
- 器材を真水で流して、塩や砂を落とすことを「すすぎ」や「水洗い」と呼びます。
- 多くのウェットスーツで使われる「ネオプレン」は、気泡を閉じ込めた発泡ゴムです。
- 日光に含まれ、素材を傷める原因になる光を「紫外線」と呼びます。
名前を覚えることが目的ではありません。「塩と砂を流し、日陰で乾かし、涼しく乾いた場所にしまうのは、素材と動く部分を守るため」という流れがわかれば十分です。
実際の海ではどう感じる?
ボートダイビングの日は、器材が船の上で日差しを浴びる時間があります。DANの解説では、ダイビングポイントへ向かうあいだもできるだけ器材を日陰に置き、日陰がなければタオルをかけることがすすめられています。日差しを少しでも減らすことが、素材を守ることにつながります。
自分の器材を持つようになったときにも、レンタルの器材を使うときにも、器材がこうした理由で扱われていることを知っておくと、器材の状態に目を向けやすくなります。
講習で一緒に確かめたいこと
- 乾いた器材のどこに、塩の白い跡が残りやすいか
- 使う器材の取扱説明に、手入れと保管の理由がどう書かれているか
想定シナリオ:濡れたまま袋に入れた翌日
【想定シナリオ】(実際の出来事ではなく、イメージをつかむための架空の例です)
潜ったあと、濡れたウェットスーツとマスクを丸めて袋に入れ、翌日まで置いておいた。取り出すと、ウェットスーツはまだ湿っていてにおいがあり、マスクのふちには白い粉のような跡が残っていた、という場面。
この場面で起きていたことは、塩と水分で説明できます。閉じた袋の中では水分が逃げず、ウェットスーツが乾かないままでした。マスクの白い跡は、海水が乾いて残った塩の結晶です。真水で流し、日陰で乾かしてからしまう理由は、こうした変化を防ぐためです。
覚えて帰る3ポイント
- 海水が乾くと塩が結晶になって残り、砂はすき間に入り込む。真水で流すのは、塩を溶かし、砂を洗い流すため。
- 日差しの紫外線や熱はゴム・ネオプレン・プラスチックなどを傷めやすく、湿ったままだとにおいが残ることがある。日陰で乾かし、涼しく乾いた場所にしまう。
- 器材ごとに素材やつくりが違うので、手入れのしかたも違う。くわしい方法は取扱説明に書かれている。
確認クイズ
Q1. 潜ったあとの器材に、白い粉のような跡が残るのはなぜ?
ア. 海水が乾いて、溶けていた塩が結晶になって残るから イ. 器材の色が落ちたから ウ. 真水で洗ったから
Q2. 器材を日なたではなく日陰で乾かすのは、何のため?
ア. 早く乾かすため イ. 紫外線や熱で、ゴムやウェットスーツの素材が傷むのを防ぐため ウ. 塩を残すため
答え:Q1はア。海水が蒸発すると、溶けていた塩が結晶として器材に残ります。真水で流すと、塩を溶かして落とせます。
Q2はイ。日差しの紫外線や高い温度は、ゴム・ネオプレン・プラスチックなどを傷めやすいため、日陰で乾かします。
次に理解するとよいこと
この記事では、潜ったあとに器材を真水で流し、乾かし、しまう理由を見てきました。
- 器材の組み立て方は、「ダイビング器材のセッティング手順」で紹介しています。
- 器材を着ける順番と脱いだあとの扱いは、「ダイビング器材を着ける順番」で紹介しています。
- BCDの各部の名前と役割は、「ダイビングのBCDの使い方」で紹介しています。
- 慣れていない器材で注意が増える理由は、レッスン「慣れていない器材だと、注意が多く必要になるのはなぜ?」で扱っています。