サンゴは植物?動物?サンゴ礁ができる仕組みと、触れると傷つく理由

さまざまな形のサンゴが広がる浅い海のサンゴ礁

水中で見るサンゴは、枝を広げた木のようにも、岩のようにも見えます。「サンゴは植物?それとも石?」と思う方もいるかもしれません。

答えから言うと、サンゴは動物です。イソギンチャクやクラゲと同じ刺胞動物(しほうどうぶつ)の仲間で、小さな体がたくさん集まって暮らしています。マクタン島でダイビングをご案内するSOLBOY DIVE CENTERが、サンゴという生き物の仕組みと、サンゴ礁ができるまで、そしてダイビング中にサンゴに触れてはいけない理由をご紹介します。

サンゴは動物。イソギンチャクやクラゲの仲間

サンゴは植物のように海底にくっついて暮らしますが、植物と違って自分で栄養を作ることはできません。米国海洋大気庁(NOAA)も、この点からサンゴを動物と説明しています。

私たちが「サンゴ」と呼んでいるものの多くは、ポリプと呼ばれる小さな個体が数百から数千も集まった群体です。環境省の解説によると、サンゴはイソギンチャクやクラゲを含む刺胞動物の仲間で、そのうち石灰質のかたい骨格を持ち、サンゴ礁を造る種類を「造礁(ぞうしょう)サンゴ」と呼びます。サンゴ自身が、触手で餌を捕まえて食べることもあります。

サンゴには、かたい骨格を作るハードコーラル(石サンゴ)と、かたい骨格を作らないソフトコーラルがあります。NOAAによると、サンゴ礁を造る主役はハードコーラルで、ソフトコーラルはサンゴ礁の中で暮らしていても、礁そのものは造りません。

ミドリイシの表面に並ぶ小さなポリプの接写

体の中に「植物」を住まわせる:褐虫藻との共生

造礁サンゴのポリプの組織の中には、褐虫藻(かっちゅうそう)という小さな藻が住んでいます。褐虫藻は太陽の光で光合成を行い、作った栄養をサンゴに渡しています。

NOAAの解説では、褐虫藻が光合成で作った有機物のうち、最大で90%がサンゴの組織へ渡されるとしています。別のNOAAの解説では、褐虫藻からの栄養が、造礁サンゴが生きるのに必要な栄養の最大70%をまかない、残りは触手でプランクトンを捕まえるなどして得ていると説明しています。数字の測り方は違いますが、どちらもサンゴが褐虫藻に大きく頼っていることを示しています。

サンゴの色にも褐虫藻が関わっています。造礁サンゴのポリプ自体はほぼ透明で、私たちが見ている色は主に組織の中の褐虫藻によるものです。環境省はこの関係を、「サンゴは動物ですが、体内に植物が住んでいるので、植物のような特徴も持ち合わせています」と説明しています。

褐虫藻と関わりの深い「サンゴの白化」が起きる原因や、白化したサンゴが回復する条件は、サンゴの白化の原因と回復の仕組みで解説しています。

サンゴ礁はどうやってできる?

ハードコーラルのポリプは、炭酸カルシウムでできたかたい骨格を作ります。群体のポリプどうしは薄い生きた組織でつながっていて、共有する骨格の表面を「生きた膜」のように覆っています。見た目は岩のようでも、表面は生きた体だということです。以前の群体が残した石灰質の骨格の上に新しい群体が育ち、これが積み重なることで大きなサンゴ礁になっていきます。

サンゴの成長の速さは種類や環境で違います。NOAAによると、岩のように丸く育つ塊状のサンゴは年に0.3〜2cmほど、枝状のサンゴは年に最大10cmほどです。サンゴ礁が形づくられる時間は、礁の種類や大きさでも異なります。目の前のサンゴ礁は、長い年月をかけて積み重なってきたものです。

なぜ暖かく、澄んだ、浅い海に多いのか

造礁サンゴが暮らせる場所は、褐虫藻の光合成と深く関わっています。

  • 澄んだ水:褐虫藻に日光が届くよう、造礁サンゴは澄んだ水を必要とします。
  • 光が届く深さ:多くの造礁サンゴは、光が届く水深およそ30mまでの範囲に限られます。
  • 暖かい水:浅い海の石サンゴの多くは、水温23〜29℃でよく育ちます。

水深や水温の条件は種類によって違い、NOAAは、より暗い深場で暮らすサンゴがいることも紹介しています。それでも、色とりどりのサンゴ礁が浅く明るい海に広がりやすいのは、こうした条件が理由です。なお、深く潜るほどサンゴの色がくすんで見えるのは、水が赤い光から順に吸収するためです。この仕組みは水中では色がどう見える?で解説しています。

フィリピンは「コーラル・トライアングル」の国の一つ

太平洋とインド洋の間に広がる、おおよそ三角形の海域は「コーラル・トライアングル」と呼ばれます。フィリピン、インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、ソロモン諸島、東ティモールの6か国の領域にまたがる海で、2009年にはこの6か国が、海を守るための協力の枠組み(CTI-CFF)を立ち上げました。

CTI-CFFによると、コーラル・トライアングルには世界で知られているサンゴの76%にあたる600種、サンゴ礁の魚の37%にあたる2,500種が暮らしています。フィリピンは、こうした豊かなサンゴの海を守る役割を担う国の一つです。

サンゴに触れてはいけない理由

ダイビングでは「サンゴに触れない」が基本のマナーです。ここまでの仕組みを知ると、その理由が分かります。

サンゴの表面は、岩ではなく生きた組織です。サンゴの表皮は体を包む粘液の層を作っていて、この層は体を守ったり、積もった砂泥を取り除いたり、餌を捕まえたりするのに役立っています。NOAAは、サンゴに触れると外側の保護層をはがしたり、感染症を広げたり、手の雑菌や油分にさらしたりして、サンゴの健康を損ね、死なせてしまうこともあると注意しています。

かたく見えるサンゴも壊れやすく、ほんのわずかな接触で折れて死ぬことがあります。NOAAは、フィンで巻き上げた砂泥がサンゴを覆い、窒息させることがあるとも指摘しています。手だけでなく、フィンや器材がかすめるだけでも、繊細なサンゴを傷つけることがあります。

ゆっくり育つサンゴにとって、折れたり傷ついたりした部分が元に戻るには長い時間がかかります。また、サンゴの中には刺すものや、皮膚が切れるほど鋭いものもあるため、触れないことは自分の身を守ることにもつながります。

サンゴ礁から距離をとって泳ぐダイバー

サンゴを傷つけないために、ダイバーができること

  • サンゴから距離をとって泳ぎ、浮きも沈みもしない状態(中性浮力)を保つ。
  • サンゴの上でフィンを強く蹴らない。砂地の近くでは砂を巻き上げないように動く。
  • ゲージやホースなどの器材をぶら下げたままにせず、体に沿わせて固定する。
  • 姿勢が崩れそうなときも、サンゴをつかんで体を支えない。

浮力と姿勢の基本は、ダイビングの中性浮力とは?とダイビングの姿勢(トリム)とは?で紹介しています。海洋保護区で守りたいマナーは、セブ島ダイビングの海洋保護区マナーにまとめています。

初めてダイビングをする方は、まだ浮力の調整に慣れていなくて当然です。当店の体験ダイビングでは、海に出る前にセンター内のプールで呼吸方法や器材の使い方を追加費用なしで練習でき、海では日本人インストラクターがサポートします。姿勢が崩れそうなときは、サンゴに手を伸ばさず、インストラクターに合図で伝えてください。

マクタンでサンゴ礁を見るなら

SOLBOY DIVE CENTERがご案内するポイントのうち、ナルスアン島はサンゴ礁に加えてドロップオフとスロープの地形があるポイントです。ヒルトゥガン島は海洋保護区に指定されています。どちらもマクタン島からボートで向かう離島のポイントで、移動時間は約40分が目安です。両島の特徴はヒルトゥガン島・ナルスアン島のダイビングポイント紹介をご覧ください。

ライセンスをお持ちの方はファンダイビング、初めての方は体験ダイビングでご参加いただけます。体験ダイビングは10歳以上でライセンスがなくても参加できます。行きたいポイントのご希望は、LINEでご相談ください。

よくある質問

サンゴは植物ですか、動物ですか?

動物です。海底にくっついて暮らす姿は植物のようですが、自分で栄養を作ることはできません。イソギンチャクやクラゲと同じ刺胞動物の仲間で、体の中に住む褐虫藻という藻から栄養の多くを受け取っています。

サンゴの色は何で決まるのですか?

造礁サンゴのポリプ自体はほぼ透明で、見えている色は主に組織の中に住む褐虫藻によるものです。深い場所では水が赤い光を吸収するため、浅い場所より色がくすんで見えます。

サンゴはどれくらいの速さで成長しますか?

種類や環境によって違います。NOAAによると、塊状のサンゴは年0.3〜2cmほど、枝状のサンゴは年に最大10cmほどです。礁が形づくられる時間は、種類や大きさによって異なります。

少し触れるくらいなら大丈夫ですか?

手やフィン、器材がかすめるだけでもサンゴを傷つけることがあります。サンゴの表面は粘液の層に包まれた生きた組織で、触れると保護層をはがしたり病気を広げたりするおそれがあります。距離をとって観察しましょう。

まとめ

サンゴは、イソギンチャクやクラゲの仲間の動物です。体の中に住む褐虫藻が光合成で作る栄養に大きく頼っているため、日光が届く澄んだ暖かい浅い海でよく育ち、炭酸カルシウムの骨格を長い年月をかけて積み重ねてサンゴ礁を造ります。

岩のように見える表面は、粘液の層に包まれた生きた組織です。触れたり、フィンで蹴ったり、砂を巻き上げたりしないことが、サンゴを守ることにつながります。仕組みを知ったうえで、マクタンの海のサンゴ礁を眺めてみてください。