SOLBOY Learning 知識の補足(アドバンスの学び)|全20レッスンの一覧
ダイビングの経験を重ねると、少し深いところまで潜るダイビングに参加する機会も出てきます。当店で扱う指導団体の一つ、NAUIのアドバンス課程の公開説明でも、深いところでのダイビング(ディープダイビング)が講習の内容として挙げられています。深く潜ると、浅いところと何が変わるのでしょうか?
この記事では、深さで変わることを「圧力で起きること」と「圧力とは別の理由で起きること」に分けて説明します。
まず何が起きるの?
浅いところから深いところへ移ると、こんな違いに気づくことがあります。
- タンクの空気が、浅いところより速く減っていく
- その深さにいられる時間の目安が、浅いところより短い
- 浮き沈みの調整が、浅いところと違って感じる
- まわりが暗く、青っぽく見える
- 場所や時期によっては、水が冷たく感じる
上の三つは深さによる圧力の変化から、下の二つは圧力とは別の理由から説明できます。
30秒で理解
- 深くなるほど、まわりから押す力(圧力)が強くなる。同じように呼吸しても、1回の呼吸に使うタンクの空気が増える。スーツの気泡やBCDの空気も押し縮められ、浮く力が変わる。
- その深さにいられる時間の目安も、深さと時間・それまでの潜り方から計算され、深いほど短くなる。
- 暗く青くなるのは水が光を吸収するから、冷たく感じるのは水温の層があるからで、どちらも圧力とは別の理由で起きる。
なぜそうなる?
圧力で起きること①:1回の呼吸に使う空気が増える
深くなるほど、まわりから押す力が強くなります。そのなかで同じように肺をふくらませるには、より押し縮められた空気を吸うことになり、タンクから使う空気の量が増えます。そのため、同じ時間潜っていても、深いところでは残圧が速く減ります。
圧力で起きること②:気泡やBCDの浮く力が変わる
圧力が強くなると、空気は押し縮められて小さくなります。気泡を含む素材のウェットスーツでは、その気泡も押しつぶされ、スーツの浮く力が小さくなります。浮き沈みを調整する器材(BCD)の中の空気も、深さによって大きさが変わります。
このため、深いところでは、浅いところと同じ調整では浮き沈みが合わなくなることがあります。
深さと時間で決まること:いられる時間の目安が短くなる
その深さにいられる時間の目安は、深さと時間、それまでの潜り方の記録から計算されます。深いほど、その目安は短くなります。ダイブコンピューターは、潜っている間ずっとこの目安を計算し直しています。
圧力とは別の理由①:光が水に吸収される
深くなるほど暗く青っぽく見えるのは、圧力のためではありません。光が水の中を進むあいだに少しずつ吸収され、赤い色から順に届きにくくなるためです。深いところでは、光が水面から長い距離を進んでくるので、その影響が大きくなります。
圧力とは別の理由②:水温の層
海では、場所や時期によって、ある深さを境に水温が急に変わる層ができることがあります。深いところで冷たく感じるのは、この層の下に入ったためで、圧力のせいではありません。深いほど必ず冷たい、というわけでもありません。
水面までの距離が遠くなる
深いところからは、水面へ戻るまでに時間がかかり、その間も空気を使います。深いところでの空気の減り方と、戻るまでの距離の両方を合わせて考える必要があるのはこのためです。
この言葉はどういう意味?
ここまで出てきたものに、名前をつけておきます。
- 深めのところで行うダイビングを「ディープダイビング」と呼ぶことがあります。どこからを深いとするかは、指導団体や講習によって違います。
- オープンウォーターの次に受ける、経験を広げるための講習を、一般に「アドバンス」と呼びます。正式な名前や内容は、指導団体によって違います。
名前を覚えることが目的ではありません。「深さで変わることには、圧力で起きることと、それとは別の理由で起きることがある」と分けて考えられれば十分です。
実際の海ではどう感じる?
深いところでは、残圧が浅いところより速く減り、その深さにいられる時間の目安も浅いところとは異なります。どの深さまで潜るかは、受けた講習の基準と経験によって異なります。
当店のライセンス講習は、NAUI・CMAS・SSIの3つの指導団体から選べます。アドバンスを含む講習の種類や流れは「セブでダイビングライセンス取得」、料金は料金ページをご覧ください。講習の内容と日程は、公式LINEでご相談いただけます。
講習で一緒に確かめたいこと
- 深いところと浅いところで、残圧の減り方がどのくらい違うか
- 深いところへ移ったとき、浮き沈みの感じ方がどう変わるか
想定シナリオ:いつもより深いところで
【想定シナリオ】(実際の出来事ではなく、イメージをつかむための架空の例です)
いつもより深いところまで潜るダイビングに参加した。まわりが青く暗くなり、浅いところでは赤く見えた魚が黒っぽく見えた。見たかった生き物を探しているうちに、残圧が浅いところより早く減っていて、浮き沈みの調整も少し違って感じた、という場面。
この場面では、理由の違う変化が同時に起きていました。残圧の減り方と浮き沈みの変化は、深さで圧力が強くなったためです。魚の色が違って見えたのは、光が水に吸収されて赤い色が届きにくくなったためで、圧力とは関係がありません。
覚えて帰る3ポイント
- 深くなるほど圧力が強くなり、1回の呼吸に使う空気が増え、スーツの気泡やBCDの空気が小さくなって浮く力が変わる。
- いられる時間の目安は、深さと時間・それまでの潜り方から計算され、深いほど短くなる。
- 暗く青く見えるのは光の吸収、冷たく感じるのは水温の層のためで、圧力とは別の理由で起きる。
確認クイズ
Q1. 同じ時間潜っていても、深いところでは残圧が速く減るのはなぜ?
ア. 圧力が強く、1回の呼吸に使うタンクの空気が増えるから イ. 深いところではタンクが冷えるから ウ. 深いところでは呼吸の回数が必ず減るから
Q2. 深いところで赤い魚が黒っぽく見えるのは、何のため?
ア. 圧力で魚の色が変わるから イ. 光が水に吸収され、赤い色が届きにくくなるから ウ. マスクが押しつぶされるから
答え:Q1はア。深くなるほど圧力が強くなり、同じように呼吸しても、タンクから使う空気の量が増えます。
Q2はイ。色の変化は圧力ではなく、光が水の中を進むあいだに吸収されることで起きます。
次に理解するとよいこと
この記事では、深く潜ると浅いところと何が変わるのかを、理由ごとに分けて見てきました。
- 深くなるほど押す力が強くなる仕組みは、レッスン「海に潜ると、なぜ耳やマスクが押される感じがするの?」で扱っています。
- 人によって空気の減り方が違う理由は、レッスン「同じように潜っていても、人によってタンクの空気の減り方が違うのはなぜ?」で扱っています。
- 深さと時間で、いられる時間の目安が決まる理由は、レッスン「深さと時間で、潜っていられる長さの目安が決まるのはなぜ?」で扱っています。
- 1本のダイビング全体での空気の考え方は、レッスン「1本のダイビング全体で、空気をどう考えるの?」で扱っています。
- 水中で色が変わって見える理由は、「水中では色がどう見える?」で紹介しています。